カギを持たない生活はあり得るのか

カギを無くしてしまって困ったという経験は誰もが一度や二度はあります。しかもそれは、多くの場合時間に追われている時に発生します。かつて、地方の農村部などではカギを使わない生活があたりまえでした。家の玄関にはカギを掛ける仕掛けすらなく、開けっ放しで出かけるのが普通でした。さすがに夜寝る時などは玄関の引き戸に内側からつっかい棒をする家もありましたが、その場合ご近所から用心のいい家と言われました。朝になって農作業に出かけるときも、耕運機やトラクターにはカギがつけっぱなしでした。当時の農家では三世代同居もあたりまえでしたので、多くの家族がいつでもそういった農具を使えるようにするには、カギをつけっぱなしにする必要があるからです。最初はカギ箱を作って管理する場合もありますが、すぐにつけっぱなしになってしまいました。その習慣で、自家用車を持つようになってもカギは車につけっぱなしなのが一般的でした。さて、現在の都市生活者はどうかと言うと、カギを持ち歩くのがあたりまえです。家を出るとき玄関にカギを掛けます。ここでカギが見つからないと大変です。一番時間に追われている時間です。ですから、多くの人は玄関のすぐ内側などにカギの保管場所を作って無くさないようにします。これで玄関を出ることが出来ました。次は車です。車のカギほど無くすものはありません。どこかに落としてしまう場合もありますが、誰でもしていまうのが、カギの閉じ込めです。多くの場合ハンドル脇の鍵穴にささったままになっています。早く目的地まで行きたいと焦る気持ちと、明らかに自分自身が閉じ込めてしまった事への、どこにももって行きようのない怒りの気持ちで、膝から崩れ落ちそうになります。早く救援を呼びたいと思っても、そんな時に限って、携帯の入った鞄が車の助手席に置いたままだったりします。先端技術の導入で家の玄関のカギがカードになったり、車もカギを使わずにドアを開けたり、エンジンをかけたり出来るようになっていますが、いずれの場合も無くしてはいけない物をなくしてしまうと、以前のカギを無くした時と変わらない状態になります。