カギを忘れてマンションに入れなかった思い出

カギを忘れてマンションに入れなかった思い出

その日、私が勤務先で帰り支度をしてると、突然新しい仕事が舞い込んできました。しかも、緊急な案件だったため、早急に着手し、仕上げなくてはならなくなりました。帰ろうとしていた私でしたが、新しい仕事を処理するために残業をすることにしました。残業は想像以上に長引き、私が仕事を終えたときには、夜の11時30分を過ぎていました。この時間なら、まだ終電には間に合います。私は急いで帰り支度をし、オフィスビルから駅へと向かいました。電車に揺られて自宅マンションに帰り着き、ドアのカギを開けようとカバンの中をさぐったとき、私は嫌な予感がしました。カバンの中に、カギが入っていなかったのです。いつもは出勤時にカギを手に取って自宅を出るのですが、今日はカギを机の上の置き忘れたまま出勤してしまったようです。仕方なく、ドア横のボタンを押して、チャイムを鳴らしてみました。しかし、何の反応もありません。もう一度チャイムを鳴らしましたが、やはり反応はありません。私の嫌な予感は的中したようです。私は現在、妻と二人でマンションに住んでいます。時計を見ると、すでに午前1時近くになっていました。この時間ですから、妻はきっと先に寝ているはずです。妻は一度寝ると、なかなか起きてくれません。耳元で大音響の目覚まし時計を鳴らしても、平気な顔で寝ているような彼女ですから、チャイムを鳴らしたぐらいでは起きないでしょう。私はカギを持って出勤しなかったことを、心の底から後悔しました。カギされあれば、中に入ることができたのです。私はダメモトでドアノブを回してみました。妻がカギを掛け忘れていたらラッキーでしたが、やはりカギは掛けられていました。日ごろから防犯意識の高い妻が、カギを掛け忘れるはずはありません。最後の望みで妻の携帯電話に電話を入れてみました。起きてくれ、起きてカギを開けてくれ、と念じながら呼び出し音を聞いていましたが、こちらも反応はありませんでした。仕方なく、私は自宅を離れ、近くにあったビジネスホテルに泊ることにしました。

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