懐かしいカギの思い出。

懐かしいカギの思い出。

カギと言われて私がまず思い出すのが、車のカギである。初めて買った中古の自動車。当時の車は、カギをカギ穴に差し込まなくても、ドアを開けるレバーを引いた状態でドアを閉め、レバーから手を離すとロックすることができた。もちろん、これはカギを車内に残したままロックしてしまう「インロック」と言う事態を引き起こす可能性がとても高い方法だったのだが、ついついエンジンを切って、カギ穴にカギをさすという行動を面倒臭がった私は、この方法で車のカギを閉めることが多かった。もちろん、今の車のように警告音がなる訳もなく、私は車を購入してわずか半年足らずで、実に4回もインロックをしたのである。そんなインロック事件の中でも、さすがに堪えたのは、冬の寒い夜、ちょっとコンビニによって暖かい飲み物でも、とエンジンをかけた状態、つまり、車にカギがささった状態にも関わらず、いつもの癖でインロックしてしまったことだ。もちろん携帯電話も車の中。どこに電話をしていいかすら分からない状態。時刻はもうすぐ23時を過ぎる。誰も乗れない車がずっとエンジン音を鳴らし続けている状態だった。私は途方にくれるしかなかった。当時そのコンビニの店員さんが親切にも、JAFの電話番号を教えてくれて事なきを得たのだが、実はその時私はまだJAF会員になってなかったのだ。何回も車内にカギを残したままインロックする、という問題を起こしているにもかかわらず、だ。そして、その夜来てくれたJAFの方は、以前もインロックを助けてもらった方だった。当然「またあなたか」と言われたし、もう年会費以上インロックでお金払ってるのだから、いい加減会員になりなさい、と軽いお説教も受けた。さすがに私もこれで懲りたのである。コンビニの店員の方、JAFの方に頭をさげ、虚しく車にささったままのカギを手にするまでの2時間。だから私にとって、カギと言われるとまず思い出すのがこの途方にくれた冬の2時間なのだ。今の車はキーレスが多く、そもそもあの頃のようなカギがない車が多い。私のような面倒臭がりの人間にはとても重宝している。でも、正直ちょっと寂しいのも事実である。あの車のカギを見るたびに思い出すことができた、今となっては笑い話になる若い日の思い出自体が薄れていってしまう気がするからだ。

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